【コラム】建築図面とアスベスト:PS、EPS、DSの解説
読者の方はどういった経緯で石綿含有建材調査者になられたでしょうか?建設・建築関係から資格を取得した方は染みついた知識からパっと図面をみても注視する箇所がわかりますが、それ以外の方には何のことだがわからない部分が多いです。筆者は分析機関出身のため、そういった教育を受けず現地や事務所で先輩に教えを乞いながら学んだものです。しかし、公的機関からでている調査者の手引きには、そういった初心者に対しての解説はなく、知っていて当たり前の表記・文章が多いです。今回の記事では、そういった方たち向けに記述していこうと思います。
目次
1.PS(パイプスペース・パイプシャフト)
・PSの定義と建築図面における役割
PSはパイプスペースもしくはパイプシャフトの略称であり、主に水に関わる配管が点検・確認できるスペースになっています。床があるパターンと竪穴になっているパターンがあり、どちらにしてもアスベスト調査においては確認必須の箇所になります。大体のPSは鍵がかかっているものですが、調査のときに鍵を借りられる又は鍵が現存していることは稀です。モノタロウやアスクルなどで汎用キーを購入して所持していくことをお勧めします。
・PSに関わるアスベストを含む建材
PSに関わる建材としてはPS内部構造によって変わりますが、竪穴の場合は特に壁部分や階層間の確認を怠らないこと。また、配管自体に保温材・耐火被覆材・断熱材などが巻いてある可能性があります。これらはレベル2に該当するアスベスト建材になり、工事前の届け出など必須になるため、合わせて確認をしなければなりません。
2.EPS(エレクトリックパイプスペース)
・EPSの定義と建築図面における役割
EPSは電気配線においてのPSの略称であり、主に電気に関わる配線が点検・確認できるスペースになります。EPSと書いてあると「非常用電源のことかな?」と何も知らない時代によく思ったことがありますが、違います。たいがいの施設だと「電気室」などが設けられていますが、EPSは性質上だいたい電気室の直上かその付近に配置されています。EPS室を設けている施設もあるので、図面を確認した際は上下階にどういった設備があるか確認するとよいでしょう。
・EPSに関わるアスベストを含む建材
配線が階や部屋を跨ぐ際は貫通部にケイ酸カルシウム板第2種が施工されていることが非常に多いです。こちらはアスベストが含有していた場合、PSの保温材などと同様レベル2に該当するため注意が必要です。かなり発じん性が高い建材になりますので、採取の際も徹底した養生隔離が必要になります。
3.DS(ダクトスペース)
・DSの定義と建築図面における役割
DSはダクトスペースの略称であり、ダクトという空気を送る設備の点検・確認ができるスペースになります。ビルのような施設では中間点というより始点・終点であることが多いイメージです。筆者の記憶では「PS・EPSときてから今度は音楽記号がなぜ・・・」とさらに脳内の中に混迷を生んだことを覚えています。
・DSに関わるアスベストを含む建材
ダクトに関してはパッキン・ガスケットがレベル3に該当する建材として取り扱われています。防音設備がある施設では、こうしたダクト部分に関しても鉛シートや発泡ウレタンなどが処置してある場合、みなし含有になりがちですがDS頼りに採取箇所を探すのも1つの手段になります。
分析
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